零式航空機兵11型

 元陽皇国初の航空機兵である。 元陽皇国海軍の航空機兵で皇紀2600年に制式化され

たため末尾の"零"を取って"零式"となった。

           すべては皇紀2567年に始まった。

 元陽皇国の地質調査団は皇国北方国境地帯の大断層で、半ば伝説化していた超科学文

明の遺跡を発見した。 朧げな記録によると今から三千年ほど昔、繁栄の絶頂期を向か

えたその科学文明は何らかの事故であっという間にに壊滅し、地底深くに飲み込まれ、

生き残った人々は絶無だったと言う。 星の世界にいた人達にも被害はおよび、地上の

混乱が収まるのを待ち数年後に地上へ再び戻った者達も極僅かで、生命再生計画は存る

程度の成功を治めるが、内部の者による反乱などが続き、持っていた科学技術も徐々に

廃れていき現在に至る。 そのような遺跡を今更発掘してもほとんどが熔け、あるいは

グシャグシャに潰れてしまっており、歴史的価値以外の物が存るとは思えなかった。 

 そういう訳で各国からの調査団を特に規制もせずに受け入れていた。 しかしそれか

ら5年後、とんでもない発見があった。 発掘現場から80km離れた鉱石の試掘場の中から

星の世界からの帰還組が残した機械が発見されたのである。 それは今までの遺跡と違

い原型をとどめていたばかりでなく、一部の機能は生きていたのであった。 その機械は

空を飛ぶ機械であったようだが、現在の技術ではとうてい復元出来る物ではなかった。

 だが、ようやく事の重大さに気づいた上層部は科学技術、軍事力に劣る元陽皇国の国

力増強を計るため遺跡を独占。 他国の調査団を締め出したが各国は自国内の遺跡の発

見に本腰を入れ徐々に発見も増え、元陽皇国と同じケースも見つかり出した。

          大発掘と技術解明の時代は始まった。

 数々の発見の中特に注目されたのは重力制御と思考制御であった。 18年後の皇紀258

5年ついに最初の重力制御用のエンジンが完成したが、始動するとただエンジンが軽くな

るだけと言うレベルであった。 しかしそこからの進歩は速く、6年後の皇紀2591年には

初の航空機搭載用のエンジン「重力子発動機」が完成、フラフラで頼りないながらも初

飛行にこぎ着ける。 しかしこの頃はまだ通常のプロペラ推進の航空機の方が高性能で

あったが・・・。 また、思考制御の方もなんとか形になりはじめ、両腕程度の制御が

可能になったのが皇紀2591年。 最初は軍用の土木作業車両に使われていたが、すぐに

接近戦用の格闘椀に発展した。 それを見ていた戦闘機パイロットが「重力子発動機」

搭載の機体に「腕」を載せてみようとの提案、この酔狂な案に「剣菱飛行機」が乗り、

テストが始まった。 テストの結果は重力子発動機が強化されたこともあって独特のホ

バリング飛行が可能となり、それと「腕」との組み合わせは予想を上回る好結果を出し

た。 その後それを元に開発され正式採用された戦闘機が後の「九六式空戦機」である

。 この機体は元陽皇国が航空機で世界のレベルに追い付いた最初の機体でもある。


 しかし剣菱飛行機はそれで満足した訳ではなかった。 「九六式空戦機」は確かに良

く出来てはいたが、付けられた"二本"の腕は思考制御技術の未熟さからの選択だった。

 その頃隣国の「斉」との国境での遺跡発掘権の交渉で西方の大国、「メルカ帝国」と

の関係が険悪化しており、早急により強力な空戦機の開発が各社で叫ばれていたのであ

る。 「メルカ帝国」は高い技術力を持って後発ながら「重力子発動機」を物にし、新

型空戦機「F4Fワイルドキャット」を実戦化していた。 さすがに九六式でも苦戦は

必至であった。

 そして皇紀2600年、その後の緻密な研究が実を結び、思考制御の技術に自信を得、つ

いに空戦機は念願であった人型の兵器へと発展し、それは「航空機兵」と呼ばれた。


     それが「零式航空機兵」だったのである。


 零式航空機兵11型 スペック(人型モード時)

 全高9.01m 全幅5.8m 全備重量2,889kg 最大速度533.4km/h

 重力子発動機栄12型 940馬力 1機装備 搭乗員 1名

 武装 20mm機銃 2丁 7.7mm機銃 2丁

 剣菱飛行機製 皇紀2600年 制式化



                作品について

 元になった原画が古い(徳間書店 「コミック鉄人」vol.2掲載、現在廃刊)ため細部

のデザインが現在の物と違っていますが、これで航空機兵の人型形態と飛行形態、降着

ポーズが判ります。 塗装については現地で塗り変えられることが殆どですが、一応工

場出荷時はこれが基本です。 ちなみに名前の「11型」の前の"1"は機体の開発番号、後

ろの"1"はエンジンの開発番号で、たとえば「52型」の場合は5番目の機体に2番目のエン

ジンの機体と言う訳です。

※X68Kで描いた物をフォトショップで加工しています。

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